敷地調査

住宅建築コーディネーターの竹内です。

土地から購入して新築を計画中のTさまから、気になる土地があるとのことで調査の依頼をいただきました。

希望の利便性の良いエリアで金額が合う土地となると何かしらの問題があることが多いです。

その問題点を事前に把握して、対処方法やそれに掛かる費用も算出したうえで購入することが望ましいので、住宅会社に間取りの依頼をする前に私が調査することとなりました。

今回の土地はこちら

敷地の裏手に”がけ”が存在しています。

こういうがけが近くに存在している土地で注意しなければいけない項目としては、

  • 土砂災害(特別)警戒区域
  • 急傾斜地崩壊危険区域
  • がけ条例

この3項目を調べる必要があります。

いずれも指定を受けていると建物計画に影響があることがあります。

敷地は広いのに、思っていてた間取りが取れないケースが出てきます。

それでは簡単に解説していきます。

目次

土砂災害(特別)警戒区域

土砂災害のおそれがある土砂災害防止法に基づき指定されたエリアのことです。

●土砂災害警戒区域

イエローゾーンとも呼ばれています。

最近はゲリラ豪雨等により、全国でも頻繁に土砂災害が起こるようになりました。こうした土砂災害の可能性が予測される地域を土砂災害警戒区域として設けています。

この区域では、危険の周知や警戒避難態勢の整備について求められますが、建物の仕様や建築に対する規制は特にありません。

しかし、土石流や地すべりなど危険性があるエリアですから、火災保険の水災でしっかりカバーできるように加入しておいた方が良いですね。

●土砂災害特別警戒区域

土砂災害警戒区域の中でも土砂災害が発生した場合、建築物の損壊や住民の生命に多大な影響を及ぼすおそれがあるとされる区域のことです。

このエリアはレッドゾーンとも呼ばれ、土砂災害警戒区域よりも土砂災害による危険性が高いとされているエリアを指します。

このエリアで居室を伴う建築をするには、外壁・基礎など建築物の一部を鉄筋コンクリート造にするなど土砂災害に耐えうる構造とするか、土砂災害の影響が建築物に及ばないような防護壁などを設ける必要があります。

よって、追加の費用がかなり掛かるケースが出てきますので注意が必要です。

しかし、新たに土地を購入するのであればレッドゾーンは絶対に避けるべきです。

どうやって確認するの?

ハザードマップで確認することができます。

国土交通省:ハザードマップポータルサイト

https://disaportal.gsi.go.jp/

「重ねるハザードマップ」は全国のハザードマップをまとめたもので、水害や津波なども重ねて表示できるので一度に確認するときに便利です。

しかし、情報更新が遅い時があるので、

詳しい情報は「わがまちハザードマップ」から各都道府県のページへ行き確認するようにしてください。

急傾斜地崩壊危険区域

急傾斜地とは傾斜度が30度以上ある崖のこと

昭和44年に定められた「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」では傾斜度が30度以上ある土地とされています。

この急傾斜地の高さが5m以上ある土地で「急傾斜地の崩壊により危害が生ずるおそれのある人家が5戸以上ある、または5戸未満であっても官公署、学校、病院、旅館等に危害が生ずるおそれがある区域」と各都道府県が指定した区域を「急傾斜地崩壊危険区域」と言います。

急傾斜地崩壊危険区域に指定されると、その区域内では急傾斜地の崩壊を誘発しかねないさまざまな行為が制限されます。

その中には建物の建築も含まれています。そのため区域内に住宅を建築する場合は都道府県知事の許可が必要になります。

がけ条例

がけ条例にかかる場合は、がけ崩れに対する建築物の安全性を確保しなければなりません。

規制内容は都道府県によって違います。

例えば広島県では、

建物が2mを超えるがけの上にある場合、または5m以上のがけの下にある場合は、制限の対象になるため注意が必要です。

がけから離して建物を配置したり、建物の構造を変えたり、居室をがけ側に設けない、安全上支障のない擁壁をつくるなど、様々な規制が掛かります。

確認申請を提出する前に都道府県から認定を受ける必要があります。

これらも理想の家づくりが出来ないことがあり、多額の費用を要する場合もあるので事前に調査する必要があります。

今回の依頼を受けた土地については、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)には該当していますが、急傾斜地崩壊危険区域とがけ条例には該当しませんでした。

土砂災害とがけ条例は市役所にて、急傾斜地については県の建設事務所にて確認をいたしました。

市役所の建築指導課の担当者

「既にイエローゾーンに入っていて注意喚起をしているエリアなのでがけ条例は該当しない。」

西部建設事務所の担当者

「今回のがけは宅地開発工事にて作られた法面工事のため急傾斜地崩壊危険箇所には指定されていない」

このような調査を購入する前に行うことで予期しない費用が後々発生するトラブルを未然に防ぐことができます。

Tさまにも、メリット・デメリットをまとめてしっかり報告させていただきました。

ぜひ土地を購入する前には必ずプロに依頼して調査をするようにしてください。

不動産会社の担当者だけでは建築の細かい知識が無いことがよくあります。

今後も後悔のない家づくりを全力でサポートいたします!

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この記事を書いた人

竹内伸夫のアバター 竹内伸夫 グランダクト代表

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